第310章

今のククに父親の愛情が必要不可欠であり、かつ望月琛の振る舞いが一応の合格ラインに達しているからに過ぎない。

もしそうでなければ、前田南が彼と同じ屋根の下で暮らすことなどあり得ないし、ましてやククを望月琛に近づけたりはしなかっただろう。

そうは思うものの、前世の出来事をククに説明する術は、今の彼にはない。

まだ幼いククに、そんな複雑な事情が理解できるはずもないのだ。

自分にとっては不本意極まりないが、ククが喜ぶなら、前田南はどんなことだって我慢するつもりだ。

そう心に決め、南は音もなく溜息をついた。

目下、最優先すべきはククの問題だ。

山下那美の一件以来、ククの心境には以前とは違...

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